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10月15日
症例集

猫の呼吸器感染症

こんにちは。獣医師の藤原です。

 

人間と同じように、猫もくしゃみや鼻水を出すような呼吸器の病気にかかることがあります。

複数の細菌、ウィルス、真菌などが混合感染していることが多く、「猫風邪」とも言われることがあります。

 

原因は病原体の感染によるものなので、治療法は病原体を排除することです。

軽いクシャミや鼻水でしたら、点鼻や抗生剤の注射だけで治ってしまうことも多いですが、悪化してしまうと・・・!?

 

今回は、そんな呼吸器の感染症がひどくなってしまった猫ちゃんの症例をご報告させていただきます。

 

 

*********************************

 

 

推定17歳、メス、MIX猫のMちゃん(仮名)

2〜3週間前からくしゃみ・鼻水がでており、だんだんひどくなってきて、ここ最近は呼吸が苦しそうとのことでご来院されました。

 

 

ご来院時は肩で息をしている状態でかなり苦しそうでした。

 

息をするたびに鼻をブーブーならしており、呼吸音もゼーゼーと聞こえます。

鼻水は粘稠性があり、白っぽい鼻水を出しています。

 

レントゲンを撮ると、肺が白くもやもや写っているところがいくつもありました。

これは肺炎を起こしてしまっている状態です。

このような場合、呼吸するのもしんどい状況なので検査中にも呼吸困難に陥ってしまう危険があります。

酸素のお部屋で休んでもらいながら、少しずつ検査を進めていきました。

 

 

鼻水は膿状であることから、何かの病原体に感染していることが考えられます。

鼻水のスワブ検査では棒状の菌が大量に検出されました。

 

最初に書かせていただいた通り、感染症で肺炎を起こしてしまっている場合、治療法は原因となっている病原体をやっつけることです。

 

感染している病原体の種類によって効く薬、効かない薬があります。

 

すぐに病原体の種類を調べる検査(ウイルスのPCR検査、菌培養検査)を行い、その結果が出るまで、点滴と抗生剤、インターフェロンの投与、吸入療法を対症療法として連日行いました。

 

呼吸器疾患の場合、吸入療法(ネブライザー)はダイレクトに呼吸器に薬を届けることができるので非常に効果が高いです。

動物は自分で薬液を吸ってくれないので、霧状の薬液を充満させた部屋に入ってもらいます。(↓写真が実際吸入療法を行なっている様子です。)

 

 

 

さて、Mちゃんに感染していた病原体は・・・

 

・Mycoplasma felis

・Staphylococcus cohnii subsp. Cohnii

・Corynebacterium sp.

・Pasteurella multocida

 

検査結果から、なんと種類も病原体に感染していることが判明しました!

 

鼻水のスワブ検査で認められた棒状の細菌はPasteurellaかな?と思います。

 

鼻水のスワブを染色しただけでは何の菌か、どんな抗生剤が効くのかまではわかりません。

PCRなどの特殊検査は時間がかかりますが、病原体を特定できることが多く、Mちゃんのように状態が悪く時間的余裕のない子や一般的な抗生剤でなかなか良くならない子にはとても有用な検査と感じます。

 

Mちゃんは、最初は食欲もあまりなく苦しそうな状態が続いていましたが、判明した病原体に効く抗生剤に変えると徐々に呼吸状態が改善していきました。

 

投与開始から10日目には食欲もしっかりでてきて、くしゃみ・鼻水もほとんど見られなくなりました!

 

 

今回感染していた病原体の1つにマイコプラズマ(Mycoplasma felis)があります。

 

マイコプラズマは常在菌の1つでもあるのですが、他の細菌感染があったり免疫力が落ちていると、結膜炎、気管支炎、ひどい場合には肺炎などの呼吸器症状を引き起こしてしまいます。

 

マイコプラズマによる肺炎はなかなかしぶとく、症状が改善してもすぐに投薬をやめてしまうとぶり返します。

Mちゃんも投薬開始から10日目以降ほとんど症状は見られなくなっていましたが、1ヶ月程度は続けてもらいました。

もう内服をやめて数ヶ月経ちますが、幸いぶり返していないみたいです。

 

こういった呼吸器感染症は飛沫感染や接触感染で伝播します。

複数の猫ちゃんを飼っていらっしゃるご家庭では、一頭から同居の猫ちゃんみんなにうつってしまう可能性があるので、発症してる猫ちゃんを隔離し、タオルや食器の共有は避けてもらう必要があります。

 

また、Mちゃんのかかった病原体は人にはうつりませんが、中には人にうつるものもあるので、やはり原因が何かということは重要ですね。

 

 

Mちゃんのように、呼吸器の感染症は感染している病原体によっては治しにくい場合もあります。

また、肺炎まで患ってしまうと、最悪の場合呼吸困難で亡くなってしまう危険もあります。

Mちゃんは感染症でしたが、同じようにくしゃみをしていても、免疫異常による病気だったり腫瘍ができている場合もあります。

ひどくなってしまう前に原因を特定して治療を開始してあげることが大事だと改めて感じました。

9月16日
症例集

症例報告 鳥編(マクロラブダス感染症)

こんにちは

小動物(小鳥・ハムスター・うさぎ)の診察を担当しています、小西麻里です。

今回は、

インコさんのマクロラブダス(通称メガバクテリア)感染症について

当院での治療法も踏まえて、お話していこうと思います。

 

では、早速。

生後5ヶ月齢のセキセイインコ、ハナちゃん(仮名)

健康診断という主訴でご来院されました。

お家で気になる症状は特に無く元気に過ごしている、ということでした。

 

まず、視診です。

挨拶しながら姿勢、呼吸の仕方、身体の汚れや羽の乱れ、目の充血、鼻水がないかなど、チェックさせて頂きます。

見た感じとても綺麗なインコさん、という印象でした。

次に体重測定です。

体重は34g。

保定した状態で、もう少しじっくり見ます。

お顔は綺麗、風切り羽根はショップさんで切っていて今は短い状態。

いずれ換羽期がきて生え変われば、また長い羽根に戻ります。

(私個人としては、なるべく羽根は切らないで安全な所で飛ばしてあげて欲しいです。)

 

仰向けにして胸筋を触ります。体格も悪くなさそうです。

インコさんの体格は胸筋の付き具合を触診して、キールスコアという5段階で評価します。

ハナちゃんはキールスコア3,正常でした。

 

続いてお尻周りもチェックします。

「ハナちゃんのウンチはのの字ですか?」

「うーん。どうかな、だいたいのの字かな・・・」

そうこうしているうちに、ハナちゃんがケース内で便をしました。

検便します。

検便の方法は直接塗抹法。倍率は400倍です。

 

あ!!

いました。

マクロラブダス。通称、メガバクテリア。

 

 

周りの腸内細菌に比べ、かなり大型の菌です。

正確には真菌、カビの仲間です。(矢印で示しています。)

マクロラブダスは胃障害を中心に、食欲不振、嘔吐

脱水、黒色血便、未消化便の排出などをおこします。

もちろん、命にかかわる病気です。

見つけ次第、治療開始です!

当院ではマクロラブダス感染症のインコさんに対して抗菌剤の内服薬を処方しています。

他にも症状があればそれぞれの症状にあった治療をします。(強制給餌、皮下点滴等)

インコさんの月齢や状態、飼い主さんとの関係などを考慮して、直接投与か飲水投与か決めます。

一人でお水が飲めるのであれば、飲水投与を選択することが多いです。

今回、ハナちゃんには1週間分の抗菌剤と胃粘膜保護剤を飲水投与で飲んでもらうことになりました。

 

1週間後・・・

再びご来院いただき、前回同様全身のチェックをして、検便です。

「ん・・・・・。今回は見当たりません!」

あ~、よかったぁ。お薬、効いてたんですね。お水、飲んでるか心配だったんですよ・・」

 

通常、生後数か月のインコさんの場合、このパターンが多いです。

内服1週間後、菌は見当たらない。

これで、終了??

いやいや、マクロラブダスはそんなに簡単にいなくなってはくれません。

いないからこそ、この治療を継続します。再び1週間分の内服薬を処方。

「また来週。来てください!」

 

実はこれを4回繰り返します。週に1度菌がいないことを確認して、いなければ薬を継続。

4回目の検便でマクロラブダスがいないことが確認できたら、治療はいったん終了です。

 

ハナちゃんは4回の検便を無事にクリアしました。

ひとまず、安心です。あとは、いない状態が保たれているかを定期的にチェックします。

半年に1度は来ていただきたいなぁ~と思っております。

 

気になるのが、内服薬を飲んでいるのにいなくならない場合、どうするのか?

内服の抗菌剤に耐性である可能性があります。

その場合、別の抗菌剤の注射を併用していきます。今のところ注射薬に対する耐性菌は確認されていません。

検便をしながらお薬の反応を見ていきます。

 

現在、日本でマクロラブダスは広く蔓延していると考えられています。

その理由の一つとして、不顕性感染の個体がいる、ということが挙げられます。

不顕性感染とは、病原体を体の中に持っているにもかかわらず、症状が出ていないことです。

感染に気付かない、気づけない、ということです。

不顕性感染の親鳥から感染する、あるいは同じケージ内の鳥から感染する、

おおいに考えられます。

ヒナのうちは特に弱いので、マクロラブダスによって命を落としてしまう場合もあります。

また、不顕性感染のインコさんでも何らかのストレスや加齢などで免疫力が落ちると発症します。

不顕性感染の期間が長ければ長いほど、事態は深刻です。

胃の障害が奥深くまで進んでいることも多いです。

近年マクロラブダスは胃癌を起こす、ともいわれています。

 

マクロラブダス感染症は検便で見つけることが出来る病気です。

そして、早く見つければちゃんと治る病気です。

気が付ないと取り返しがつかないことにつながります。

今回のハナちゃんのように、何の消化器症状も起こさずに順調に治ってくれるインコさんがいる一方、

重篤な症状で苦しんでしまうインコさんもいます。命を落としてしまうインコさんもいます。

 

もし、お家に可愛いインコさんがやってきたら、

元気そうに見えても、必ず一度は病院で検便を受けて欲しいと思います。

そして、「インコさんあるある」的なお話なんかもしたいですね!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました♡

 

 

9月10日
症例集

胆泥症と胆嚢粘液嚢腫

こんにちは!獣医師の原田です。

みなさんお気づきかもしれないですが、獣医師チームは学術的なブログを更新することになりまして、私も今回その流れで症例報告をさせていただきます。少しでも参考になるように、分かりやすくお伝えできたらと思います。

 

今回お話しするテーマはタイトルの通り

「胆泥症と胆嚢粘液嚢腫」

です。

これらは胆嚢と呼ばれる臓器の疾患です。いきなり胆嚢って言われても・・・ってなると思うので、簡単に説明を。

言葉で説明すると

「胆汁という肝臓が作る消化液を一時的に貯留し、その成分を調整する臓器」

といったところでしょうか。

胆嚢は袋状の臓器で、胆管を通じて肝臓と十二指腸とつながっています。

人でも胆石とかなら聞いたことあるのではないでしょうか?

 

わんちゃんを飼っている方であれば、春と秋に健康診断を受けていただいた時に

ALT や ALP GGTといった項目が引っかかったことがある方も多いと思います。

また、他の疾患の検査時に偶発的に胆泥が見つかって、指摘された方なども結構いらっしゃると思います。

今回ご紹介させていただく、アースちゃんもそんなワンちゃんの一人です。

 

5年前・・・

違う疾患で検査中に偶発的に、胆泥が見つかりました。

血液検査でも異常がなく、胆泥に関連した症状もありませんでした。

また胆嚢の大きさも正常でしたが、胆嚢内容物の流動性の低下が認められたため、予防的に内服を使用してみました。

しかし、内服の反応は悪かったため、休薬し定期的なエコー検査をすることとしました。

2017年のエコー検査

胆泥はありますが、胆嚢の大きさは小さく、流動性も見られます。

ALT  ALP  GGT:正常

引き続き3ヶ月に一回の経過チェックと、健康診断での血液検査で経過を見ていきました。

2018年

この時点でも、胆泥はありますが、胆嚢の大きさはほぼ変わらず。流動性もありました。

ALT  ALP  GGT:正常

2019年はほとんど変わらず。

2020年

わずかに胆嚢の大きさは大きくなっていますが、本当に少しずつです。

流動性は相変わらず認められます。

ALT  ALP  GGT:正常

2021年

しばらく安定していたのですが、

5月ぐらいに急に胆嚢の大きさが大きくなり、流動性も低下したので、内服を処方し反応をチェックすることになりました。

ALT  ALP  GGT:正常

7月

内服の甲斐なく、胆嚢の大きさはさらに大きくなってしまっています。

さらに、エコーで白っぽい部分の周りの、黒い部分が急に大きくなりました。

この段階で、ついに

「胆嚢粘液嚢腫」の疑いが強くなりました。

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−胆嚢粘液嚢腫とは?

胆嚢内にムチンという粘液様の物質が充満することで、胆嚢が拡張し、

流動性が低下する原因不明の疾患です。

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ここで出てくるテーマが

①胆嚢粘液嚢腫と胆泥の関係性

②胆嚢粘液嚢腫の手術のタイミング

です。これが大きなポイントです!!

まず①から

胆泥症は胆嚢粘液嚢腫に発展する病気なのか?

ここである有名な論文の図があります

こいつを見ると、胆泥症が胆嚢粘液嚢腫に発展していきそうなのですが、

そう単純な話ではないのが厄介なところです。

結論から言うと、胆泥症から胆嚢粘液嚢腫になるかもしれないし、ならないかもしれないしわからないということです。

今回みたいに長期的に見ていくと、胆泥症から胆嚢粘液嚢腫に変わっていく(ように感じる)症例に出会うことがあります。

このことから、

「胆泥症があるのであれば、念のため経過観察を行うことが重要」

だと考えられます。

また、テーマ②にも繋がるのですが、

胆嚢粘液嚢腫の治療判断は難しく、外科手術に踏み切るタイミングの見極めが非常に難しく、重要です。

重症度が高くなく、血液検査などでも異常がない段階では内科治療で経過を見ることもできますが、しっかりとした経過チェックが必要です。

何を持ってして胆嚢粘液嚢腫が重度と判断するか?

これがテーマ②です。

ここで出てくるのが、先ほどから出てきている

  • 胆嚢の大きさ

  • 胆嚢の流動性

に加えて

  • 胆嚢の収縮率

  • (血液検査)

などで「総合的に」判断していきます。

これがあれば確実に危険と言う指標もありますが、それが出てからでは手術のリスクが高く、対応が遅すぎます。

かと言って、やる必要がない段階で手術するのも手術リスクはゼロではないので、もちろん論外です。

しっかり手術適期を判断することが求められます。

 

またアースちゃんに戻りますが、

アースちゃんの場合

  • 胆嚢が大きくなった

  • 流動性が大きく低下

この2点が急速に認められたため、手術判断としました。

実際手術してみると

パンパンに膨らんだ胆嚢が摘出され、切開してみるとベタベタの粘液が充満していました。

これが胆嚢粘液嚢腫です。

手術を引っ張りすぎた時に起こるような、胆嚢破裂なども見られず、いいタイミングで手術することができました。

アースちゃんも元気に過ごしています。

可愛いですねー。

余談ですが、アースちゃんは病院でも物怖じせず、いつも明るくて愛されキャラで有名です。

術後もすぐご飯を食べてあっという間に退院して行ったのはさすがアースちゃんと言った感じでした。

 

少し難しい話も出て長くなってしまいましたが、少しでも気になることがある方は、ぜひご相談くださいね。

胆泥症は基本無症状ですが、胆嚢粘液嚢腫は症状が出てからでは遅い病気の一つですので、早期発見し、定期チェックしていくことが重要です。

8月15日
症例集

猫の高血圧症

こにし動物クリニック 獣医師の谷山です。

今回は猫の高血圧症について、

実際当院に通っていただいている猫ちゃんの症例と共にお話しさせていただきます。

 

 

 

 

日本人では約3人に1人が高血圧症とも言われておりますが、

高齢の猫においても高血圧症は非常に多い印象です。

 

警戒心が強い性格の子が多いため、病院で正確に数値を測定しづらいことから、診断が正確に行われないこともよくあります。

 

猫の高血圧症の内、多くは二次性高血圧症であり、特発性高血圧症は全体の13-20%とも報告されています。

 

二次性高血圧症の原因として最も多いのは慢性腎臓病で、慢性腎臓病の猫の1.5-2頭に1頭は発症していると報告されています。

 

他には甲状腺機能亢進症高アルドステロン血症(循環血液量が増える病気)などが挙げられます。

 

収縮期血圧が140mmHgを超える場合は高血圧症とされており、

そこから標的臓器障害のリスクによっても細分化されます。

 

収縮期血圧180 mmHgを超える場合を重度高血圧症と分類し、標的臓器障害リスクは非常に高いです。

 

 

 

 

先日来られた猫ちゃんですが、

嘔吐の直後から急に眼内出血が見られ、目が見えていなさそうとのことで来院されました。

 

 

様々な疾患が考えられますが、

突然の失明や眼底出血、前房出血などがみられた場合は、高血圧からきていることがあります。

 

身体検査や血液検査では特に異常は見られず、血圧を測定すると、

 

 

病院で緊張している状態ではありますが、

収縮期血圧が222 mmHg

という重度の高血圧でした。

 

 

この猫ちゃんは症状が目に出ていましたが、

症状が出やすい組織として眼の他に、脳や心臓/腎臓などが挙げられます。

特に眼は高血圧症の猫の約50%で臨床所見が認められていて、

網膜の障害は収縮期血圧160 mmHg で起こりうるとも報告されています。

 

ISFM(International cat care)では、

 

高血圧症の猫では、沈鬱や引きこもるといった症状がでること、

高血圧症に伴う重度の頭痛が見られることもある

と記述されています。

 

また、眼の出血や網膜の異常などの症状が見られるまで、

高血圧症による臨床兆候は見られることが少ないため、

定期的な血圧の測定(年1-2回以上)も推奨されています。

 

 

この猫ちゃんはその後頑張って飲み薬を飲んでもらい、

2週間後には収縮期血圧が173

 

 

1ヶ月後には152と順調に下がり、目の出血もおさまって元気に過ごされています。

 

 

 

ですが、高血圧症に用いられるお薬の大部分は、

副作用として低血圧を引き起こす危険性があります。

病院では環境ストレスなどにより血圧が上昇している可能性が高く、

帰宅すると低血圧に由来するふらつきなどの歩様異常、運動不耐性(動きたがらない)を疑う徴候が見られないか注意です。

 

 

 

症状が現れるまで中々気付くことができないのが高血圧症ですので、

定期的なチェックが推奨されます。

 

参考にしていただければ幸いです。

8月12日
スタッフブログ症例集

CTで見極める!歯周病と鼻腔内腫瘍

こんにちは、こにし動物クリニック 獣医師の関原です。

今回は、似たような症状が見られる2つの疾患におけるCT検査の有用性について、実際の症例を混じえてお話させていただきます。

 

 

日々の診察の中で飼い主様から「お口のトラブル」に関する質問をよく受けます。

特に以下のような質問が多いです。

・口が臭い

・歯石が気になる

・歯茎が赤い

・おもちゃやガムを噛んだら口から血が出た

こういった症状は歯周病の進行によって見られる事が多いです。

口腔内の症状から歯周病だとすぐに気づく方は多いですが、意外と知られていないのがくしゃみ・鼻水などの上部呼吸器症状です。

歯周病が進行すると、歯根部の上顎骨が溶解し、口腔鼻腔瘻(鼻腔と口腔がトンネルで繋がった状態)を形成します。

口腔内細菌が鼻腔に侵入し増殖することで鼻に膿が溜まり、蓄膿症を続発します。

歯周病に続発した蓄膿症は抗生剤では完治できません。

口腔鼻腔瘻を形成している部位の抜歯と歯肉の縫合を行い、穴を塞がなければなりません。

 

 

では歯周病があり、くしゃみ・鼻水を出しているわんちゃん・猫ちゃんが全て蓄膿症なのでしょうか?

実は、くしゃみ・鼻水は鼻腔内腫瘍のサインでもあるのです!

歯周病と鼻腔内腫瘍の鑑別は非常に重要です。

なぜなら、歯周病と鼻腔内腫瘍では治療方法が全く異なるからです!

・歯周病→抜歯、歯肉縫合、歯石除去、抗生剤投与

・鼻腔内腫瘍→放射線治療、抗がん剤投与

さらに、鼻腔内腫瘍がある患者に抜歯をしてしまうと、悪性腫瘍が一気に口腔内に浸潤してしまう危険性があります!

当院ではこうした誤診のリスクを避け、適切な治療を行うために歯科治療の術前検査にCTを導入しています。

 

 

実際に術前にCT撮影を行った症例を紹介します。

症例1(ミニチュアダックスフント、10歳)

・症状:くしゃみ・鼻水、歯石、歯肉炎

CT撮影を行うと、片側の鼻腔内に膿が溜まっていることが分かりました。↓

横からの画像で見ると、膿瘍は左側第4前臼歯の歯根部周辺にのみ存在していました。↓

3Dにしてみると、歯根部の口腔鼻腔瘻がより分かりやすいです。

赤い矢印が口腔鼻腔瘻となっている部位です。↓

この症例は、歯周病の進行による蓄膿症がくしゃみ・鼻水の原因と考えられました。

第4前臼歯を含む歯周病の歯を抜歯し、歯肉を縫合しました。

抜歯後、生理食塩水を注入すると、鼻から流れてきました。

治療後、くしゃみ・鼻水は見られず、元気に過ごしてくれています。

 

 

症例2(雑種猫、6歳)

症状:くしゃみ・鼻水、歯肉に穴が開いている

CT検査で、右側鼻腔全域に貯留物があることが分かりました。↓

さらに、反対側の鼻腔や、眼球方向にまで貯留物が圧迫していました。↓

膿は液体なので、骨が変形するほど圧迫することはありません。

このような所見は腫瘍や肉芽腫など、固形物が鼻腔にあることのサインになります。

本症例はCT検査の後、歯科治療ではなく鼻腔内の生検を行いました。

病理検査の結果、「軟骨肉腫」という診断がつき、放射線治療のために大学病院を紹介しました。

 

 

 

今回は「歯周病」とよく似た症状を示す鼻腔内腫瘍について、それぞれの症例のCT画像をお見せしながらお話ししました。

わんちゃん・猫ちゃんの歯周病が気になる方、くしゃみや鼻水などの症状が見られる方は、ぜひ当院までお気軽にご連絡ください!!

 

7月30日
症例集

3分で学べる ダニが媒介するS F T Sという恐ろしい病気

院長のこにしです。

先日京滋小動物研究会で、S F T Sウイルス感染症の勉強会を開催しました。

いつもの研究会よりも多数の動物看護師、獣医師が参加していただき、皆さんが興味を持っていることがわかります。

その際に得られた情報をぜひ飼い主様と共有したいと思いこの記事を書いております。

SFTSは人畜共通感染症であり、人での発生報告も日本では600人ほど報告されています。

闇雲に恐れるのではなく敵の情報を得てしっかり対策を取ること、万が一の際の対応等を頭に置いていくことはとても大切です

 

勉強会では大学の同級生でもあり、実際のこの病気に感染したという経験のある先生を招いて、体験談を聞くこともできました。

その先生自身S F T Sに感染したのではないかと思っても、診察してもらうお医者さんの病気の鑑別リストに上がってこないので、

自身が獣医師でSFTSウイルスに感染した動物の治療をしていた事を伝えることにより、迅速に検査をしてもらい早期の回復につながったとのこと。

私達よりも多くのS F T Sウイルス感染症に遭遇している先生の話は、これから我々がどのように対処すればいいかの勉強になりました。

幸い、当院では陽性の判断を下した動物はいませんが、疑わしい症状で遺伝子検査まで進んだ症例はいます。

研究会でも多数の質問があった内容から厳選して、8個にまとめ 3分で読めばわかる内容にまとめました。

 

1、そもそも原因はなんですか?

重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:SFTS)ウイルスを保有するマダニに噛まれることで感染します。

全てのマダニがこのウイルスを持っているわけではないで、噛まれたら即感染というわけではありません。

 

2、実際、滋賀県での発生状況はどうなの?

滋賀県でも発生報告があります。

現在猫1頭犬1頭と少ないですが、

今後このような啓蒙活動の効果により、検査の頻度が増えれば報告も増えてくる可能性も高いと考えます。

西日本に発生が多いですが、最近では静岡県でも感染報告があったと報告があります。

 

3、動物のどんな症状があれば気をつければいいの?

見た目だけでは絶対に判断できません

よく外出する(特に猫ちゃん)

最近ダニをつけてきた

元気消失、食欲低下などの消化器症状がある

体が熱い! 発熱(猫ではほぼ100%と言われてます)

尿の色が濃い

 

4、今わかっている検査所見の特徴(動物)

発熱、元気消失、嘔吐、下痢、脱水

血液検査での特徴としては、

黄疸 T B I L Lの上昇

白血球の減少、血小板減少

C P K 、A S T、A L Tなどの肝酵素の上昇

炎症マーカーの上昇 猫SAA 犬CRP

そこで確定診断のため、SFTSウイルス遺伝子検査を行います

 

5、疑わしい動物に接する人は何に気をつければいい?何から感染するのか?

感染した動物の体液汚物の接触や飛沫により感染すると報告されています。

血液便には特に注意ですね

 

6、治療法はあるの? 

残念ながら特効薬は、ありません。

基本的には、対症療法ができる治療です。

輸液、制吐剤、抗菌剤、痙攣(+)→抗痙攣剤などなど

 

7、実際に自分に怪しい症状が出たらどうしたらいい?

すぐに病院を受診してください。

50代未満の死亡報告は0です。若い方が治りはいいらしいです。

ただ、病気の鑑別リストの上位には上がってこない病気です。

このような病気の動物と接触し、感染したリスクが高いことを伝えることが大切です。

 

8、感染のリスクを減らすためにできることは?

自由に外出をさせない(特に猫ちゃん)

ノミダニ駆除薬をしっかり行う

特に注意しなければいけないよくあるパターンとして、ダニだらけの弱った動物を保護した際です。

なんとか助けてあげたいという気持ちの片隅に、こういう感染する病気があるんだなと思い出し、自分の身を守ることも忘れないでいただきたい!

我々は、日々いろんな病気の動物の診察にあたります。まずは見た目から、検査所見から疑わしいと思った場合は、即防護の徹底をとるしか方法はないと考えます。

使い捨て防護キット(グローブ、マスク、エプロン、フェイスシールド)を使用し

獣医師や看護スタッフ、飼い主様に2次感染させない最大限の努力をし、感染した動物の救命するためにできることを行う必要があると考えています。

 

 

病院前の花壇が草ボーボーになってましたが、美化担当のスタッフ中心に暑い中スッキリ綺麗にしてくれました。

休む暇もないくらいバタバタしている毎日ですが、少しでも飼い主様に過ごしやすい環境を提供したいという気持ちで、

自発的に考え、行動してくれるスタッフ達には感謝です。ありがとう!

 

 

 

 

 

 

 

 

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