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8月12日
スタッフブログデンタルケア症例集

CTで見極める!歯周病と鼻腔内腫瘍

こんにちは、こにし動物クリニック 獣医師の関原です。

今回は、似たような症状が見られる2つの疾患におけるCT検査の有用性について、実際の症例を混じえてお話させていただきます。

 

 

日々の診察の中で飼い主様から「お口のトラブル」に関する質問をよく受けます。

特に以下のような質問が多いです。

・口が臭い

・歯石が気になる

・歯茎が赤い

・おもちゃやガムを噛んだら口から血が出た

こういった症状は歯周病の進行によって見られる事が多いです。

口腔内の症状から歯周病だとすぐに気づく方は多いですが、意外と知られていないのがくしゃみ・鼻水などの上部呼吸器症状です。

歯周病が進行すると、歯根部の上顎骨が溶解し、口腔鼻腔瘻(鼻腔と口腔がトンネルで繋がった状態)を形成します。

口腔内細菌が鼻腔に侵入し増殖することで鼻に膿が溜まり、蓄膿症を続発します。

歯周病に続発した蓄膿症は抗生剤では完治できません。

口腔鼻腔瘻を形成している部位の抜歯と歯肉の縫合を行い、穴を塞がなければなりません。

 

 

では歯周病があり、くしゃみ・鼻水を出しているわんちゃん・猫ちゃんが全て蓄膿症なのでしょうか?

実は、くしゃみ・鼻水は鼻腔内腫瘍のサインでもあるのです!

歯周病と鼻腔内腫瘍の鑑別は非常に重要です。

なぜなら、歯周病と鼻腔内腫瘍では治療方法が全く異なるからです!

・歯周病→抜歯、歯肉縫合、歯石除去、抗生剤投与

・鼻腔内腫瘍→放射線治療、抗がん剤投与

さらに、鼻腔内腫瘍がある患者に抜歯をしてしまうと、悪性腫瘍が一気に口腔内に浸潤してしまう危険性があります!

当院ではこうした誤診のリスクを避け、適切な治療を行うために歯科治療の術前検査にCTを導入しています。

 

 

実際に術前にCT撮影を行った症例を紹介します。

症例1(ミニチュアダックスフント、10歳)

・症状:くしゃみ・鼻水、歯石、歯肉炎

CT撮影を行うと、片側の鼻腔内に膿が溜まっていることが分かりました。↓

横からの画像で見ると、膿瘍は左側第4前臼歯の歯根部周辺にのみ存在していました。↓

3Dにしてみると、歯根部の口腔鼻腔瘻がより分かりやすいです。

赤い矢印が口腔鼻腔瘻となっている部位です。↓

この症例は、歯周病の進行による蓄膿症がくしゃみ・鼻水の原因と考えられました。

第4前臼歯を含む歯周病の歯を抜歯し、歯肉を縫合しました。

抜歯後、生理食塩水を注入すると、鼻から流れてきました。

治療後、くしゃみ・鼻水は見られず、元気に過ごしてくれています。

 

 

症例2(雑種猫、6歳)

症状:くしゃみ・鼻水、歯肉に穴が開いている

CT検査で、右側鼻腔全域に貯留物があることが分かりました。↓

さらに、反対側の鼻腔や、眼球方向にまで貯留物が圧迫していました。↓

膿は液体なので、骨が変形するほど圧迫することはありません。

このような所見は腫瘍や肉芽腫など、固形物が鼻腔にあることのサインになります。

本症例はCT検査の後、歯科治療ではなく鼻腔内の生検を行いました。

病理検査の結果、「軟骨肉腫」という診断がつき、放射線治療のために大学病院を紹介しました。

 

 

 

今回は「歯周病」とよく似た症状を示す鼻腔内腫瘍について、それぞれの症例のCT画像をお見せしながらお話ししました。

わんちゃん・猫ちゃんの歯周病が気になる方、くしゃみや鼻水などの症状が見られる方は、ぜひ当院までお気軽にご連絡ください!!

 

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