動物の身体の負担が少ない手術法です。
従来の開腹手術のようにお腹を大きく切ることなく、皮膚を数カ所切開して(10mm程度)器具やカメラを挿入し、テレビモニターでお腹の中を観察しながら行う手術です。拡大された鮮明な画像で手術を行うことができ、画像を保存することで手術後に飼い主様もご覧いただくことができます。また、傷がとても小さいため、手術自体の負担が少ないことはもちろん、術後の経過においても身体の負担が少ないことが特長です。
通常の手術に比べて傷が小さいので痛みも少なく、痛みに弱い小型犬にとっては大きな利点です。術後の胃腸運動の低下も起こりにくいです。
従来の手術では、傷が大きくなってしまう中型犬や大型犬によっては大きな利点となります。傷が小さくて体温が下がりにくいことは小型犬にとっても大きな利点です。
開腹手術の場合、内臓が空気に触れたり、直接臓器を触るのでその部分が癒着を起こすことがあります。腹腔鏡手術の場合は、このリスクが非常に少ないです。
ヒトの医療においては、腹腔鏡手術は通常の開腹手術に比べて免疫系に与える悪影響が少ないとも言われています。
翌日には、普段通り元気に回復する可能性が高いです。
※麻酔の影響もあるので、1日入院していただく場合もあります。
開腹手術 | 腹腔鏡手術 | |
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安全性 | 安全 | 安全 内視鏡下で止血の確認ができる |
傷の大きさ | 5〜10㎝ 卵巣・子宮に負担がかかる 止血の確認が困難 |
5㎝程度 脂肪の量によって卵巣や子宮を取り出すため、 傷を1〜2㎝に拡大することもある |
入院・術後の看護 | 2日間程度 3日間ほどはあまり元気がない |
日帰りも可能 翌日には、普段通り元気に回復することが多い |
傷の直り | 約10日で抜糸ができる | 10日で抜糸ができる 1つ1つの傷が小さいため、治りが早い |
動物への負担 | 大きい | 小さい |
手術費用 | 腹腔鏡手術に比べて安価 | 開腹手術に比べて高価 手術器具が高額なことが多い |