こんにちは!獣医師の原田です。
みなさんお気づきかもしれないですが、獣医師チームは学術的なブログを更新することになりまして、私も今回その流れで症例報告をさせていただきます。少しでも参考になるように、分かりやすくお伝えできたらと思います。
今回お話しするテーマはタイトルの通り
です。
これらは胆嚢と呼ばれる臓器の疾患です。いきなり胆嚢って言われても・・・ってなると思うので、簡単に説明を。
胆嚢は袋状の臓器で、胆管を通じて肝臓と十二指腸とつながっています。
人でも胆石とかなら聞いたことあるのではないでしょうか?
わんちゃんを飼っている方であれば、春と秋に健康診断を受けていただいた時に
また、他の疾患の検査時に偶発的に胆泥が見つかって、指摘された方なども結構いらっしゃると思います。
今回ご紹介させていただく、アースちゃんもそんなワンちゃんの一人です。
しかし、内服の反応は悪かったため、休薬し定期的なエコー検査をすることとしました。
ALT ALP GGT:正常
引き続き3ヶ月に一回の経過チェックと、健康診断での血液検査で経過を見ていきました。
ALT ALP GGT:正常
2019年はほとんど変わらず。
ALT ALP GGT:正常
ALT ALP GGT:正常
ここである有名な論文の図があります
こいつを見ると、胆泥症が胆嚢粘液嚢腫に発展していきそうなのですが、
そう単純な話ではないのが厄介なところです。
重症度が高くなく、血液検査などでも異常がない段階では内科治療で経過を見ることもできますが、しっかりとした経過チェックが必要です。
これがテーマ②です。
ここで出てくるのが、先ほどから出てきている
に加えて
かと言って、やる必要がない段階で手術するのも手術リスクはゼロではないので、もちろん論外です。
しっかり手術適期を判断することが求められます。
アースちゃんの場合
実際手術してみると
パンパンに膨らんだ胆嚢が摘出され、切開してみるとベタベタの粘液が充満していました。
これが胆嚢粘液嚢腫です。
手術を引っ張りすぎた時に起こるような、胆嚢破裂なども見られず、いいタイミングで手術することができました。
アースちゃんも元気に過ごしています。
可愛いですねー。
余談ですが、アースちゃんは病院でも物怖じせず、いつも明るくて愛されキャラで有名です。
術後もすぐご飯を食べてあっという間に退院して行ったのはさすがアースちゃんと言った感じでした。
少し難しい話も出て長くなってしまいましたが、少しでも気になることがある方は、ぜひご相談くださいね。
胆泥症は基本無症状ですが、胆嚢粘液嚢腫は症状が出てからでは遅い病気の一つですので、早期発見し、定期チェックしていくことが重要です。