はじめに

滋賀県栗東市・草津市・守山市・野洲市・湖南市の皆さん、こんにちは！ こにし動物クリニックの院長、小西です。

今回は、猫の仙腸関節の骨折についてお話しします。猫は高いところから飛び降りることが多いため、骨折するリスクが高く、その中でも仙腸関節の骨折は比較的珍しいですが、重要な問題です。このブログでは、仙腸関節の骨折の原因、症状、治療法、そして予防策について詳しく解説します。

仙腸関節とは？

仙腸関節は、仙骨と腸骨が接続する部分で、骨盤の一部を構成しています。この関節は、体重を後肢に伝える重要な役割を果たしており、非常に強い構造を持っています。しかし、強い衝撃や外傷が加わると骨折することがあります。

骨折の原因

猫の仙腸関節の骨折は、以下のような原因で発生することが多いです：

1. 高所からの落下：猫は高い場所から飛び降りることが好きですが、時には着地に失敗し、骨折することがあります。
2. 交通事故：外出する猫は車に轢かれるリスクがあり、強い衝撃を受けることで骨折が生じることがあります。
3. 喧嘩や攻撃：他の動物との喧嘩や人間からの攻撃も骨折の原因になることがあります。

症状

仙腸関節の骨折が発生すると、以下のような症状が見られることがあります：

• 歩行困難：後肢を引きずる、または全く動かさない。
• 痛み：患部を触ると強い痛みを感じる。
• 腫れ：骨折部位に腫れが見られる。
• 食欲不振：痛みにより食欲が低下する。
• 排尿、排便障害：痛みや神経の問題

診断

仙腸関節の骨折を診断するためには、以下の方法が用いられます：

• 触診：獣医師が患部を触って異常を確認します。
• X線撮影：骨折の程度や位置を正確に把握するために行います。
• CT：複雑な骨折の場合、より詳細な画像を得るために使用します。

治療

治療法は骨折の程度や猫の全体的な健康状態によりますが、一般的な方法は以下の通りです：

1. 保存療法：軽度の骨折の場合、安静と鎮痛剤の投与で自然治癒を促すことがあります。
2. 手術：骨折が複雑な場合や骨片がずれている場合は、手術で固定する必要があります。
3. リハビリ：治癒後のリハビリテーションも重要です。筋力を回復させるための運動やマッサージが行われます。

予防策

骨折を予防するためには、以下の対策が有効です：

• 高所へのアクセスを制限する：ベランダや窓からの落下を防ぐためにネットやフェンスを設置する。
• 屋内飼育：外出を避け、屋内で安全に飼育することで交通事故を防ぐ。
• 定期的な健康チェック：定期的に動物病院で健康チェックを受けることで、骨の健康状態を確認する。

まとめ

猫の仙腸関節の骨折は深刻な問題ですが、早期発見と適切な治療で回復することが可能です。高所からの落下や交通事故を防ぐための予防策を講じ、万が一の時にはすぐに動物病院にご相談ください。皆さんの猫が元気に過ごせるよう、しっかりとサポートしていきましょう。

症例報告

若い猫ちゃん　交通事故による仙腸関節の骨折、脱臼をラグスクリューにて固定整復しました。

後ろからの強い衝撃によりこのような状況になったことが推測されます。

膀胱が破裂してないか？　神経症状はないか？　胸部のダメージによる呼吸状態のチェック　全ての状況が改善してから問題の骨盤の整復です。

自宅にて、リハビリ生活も落ち着いてきてこの度去勢手術で来院。元気な姿を見て嬉しくなりました。

まだ家出を繰り返しているので、去勢をして家で大人しくしてもらえたら幸いです。手術部位の毛もしっかり生えそろってきました。