こんにちは。こにし動物クリニック獣医師の原田です!
今回は、セミナー報告~聴診編~という事で、心臓と呼吸器に関する情報をお伝えしたいと思います。心臓に関しては、対象疾患をわんちゃんで一番多い、心疾患の僧帽弁閉鎖不全症に絞ってお話したいと思います。僧帽弁閉鎖不全症に関しては、こちらをご参照ください(https://h-konishiah.sakura.ne.jp/wp/blog/2338322.html)
まずは、心臓の聴診に関してです。
心臓の聴診時に何を聴いているかというと、
・僧帽弁三尖弁が閉じる音・・・Ⅰ音(ブッ)
・大動脈弁肺動脈弁が閉じる音・・・Ⅱ音(タ)
・Ⅰ音とⅡ音の間に雑音がないか?・・・収縮期雑音
・Ⅱ音とⅠ音の間に雑音がないか?・・・拡張期雑音
・Ⅰ音とⅡ音が聞こえているか?・・・連続性雑音
・心拍数と、リズム、音量、過剰心音・・・不整脈など
大まかにこんなところに気をつけて聞いています。人間相手であれば、特に意識する必要はないのですが、動物は当然聴診に協力的ではないので、中々聴診がうまくいかないこともあります。
僧帽弁閉鎖不全症で特に気をつけなければいけないのは、心拍数と収縮期雑音です。
獣医師が聴診をして「雑音がありますね」という時に、一番多いのが、この収縮期雑音です。
その雑音の音量で更に分類があります。
有名なものは、Levineの6段階分類です。
Ⅰ度:非常に微かな雑音、集中しないと聴取不可
Ⅱ度:微かな雑音、集中しなくても聴取可能
—これ以上の雑音だと、心臓の状態が悪いかもしれない—
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
Ⅲ度:中程度の雑音、Ⅱ度より大きい
Ⅳ度:大きな雑音、スリル(胸壁に雑音の振動が伝わる)を伴う
Ⅴ度:非常大きな雑音
Ⅵ度:聴診器を胸壁から話しても聴取できる大きな雑音
このように分類を行うことで、ある程度の状態を予測できます。それと、本人の状態によって、どこまで検査を行うかの判断に使用したりもします。
次に、呼吸器の聴診についてです。
呼吸器の聴診で何を聴いているかというと、
肺に出入りしている空気の通過音を聴いています。
その音が、
・聴こえるのか聴こえないのか
・正常なのか異常なのか
・大きいのか小さいのか
・息を吸っている時(吸気時)に聴こえるのか吐いている時(呼気時)に聴こえるのか
・吸気と呼気の長さは同じぐらいか
・どこの肺で異常な音がするか
このようなところに気をつけて聴診しています。
しっかりこれらを意識して聴くことで、大まかにどのような異常がありそうか、鑑別することができます。
最後に飼い主さんにお願いしたい、ポイントは「呼吸数」です。
正常で、何も気にならないときはいいのですが、
なんとなく呼吸が早いかも?
呼吸がしにくそう?
このような時は、意識的に呼吸数を数えてみてください。
呼吸数が、一分間で40回以上であれば、呼吸不全に陥っているかもしれません。
この場合はお家で様子見は非常に危険ですので、すぐにご来院ください。特に、心臓の治療中の子などは要注意です。
少し、呼吸や心音など、どんなところに気をつけているのか理解していただき、お家で見ていく上での参考にしていただけたら幸いです。