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9月16日
症例集

症例報告 鳥編(マクロラブダス感染症)

こんにちは

小動物(小鳥・ハムスター・うさぎ)の診察を担当しています、小西麻里です。

今回は、

インコさんのマクロラブダス(通称メガバクテリア)感染症について

当院での治療法も踏まえて、お話していこうと思います。

 

では、早速。

生後5ヶ月齢のセキセイインコ、ハナちゃん(仮名)

健康診断という主訴でご来院されました。

お家で気になる症状は特に無く元気に過ごしている、ということでした。

 

まず、視診です。

挨拶しながら姿勢、呼吸の仕方、身体の汚れや羽の乱れ、目の充血、鼻水がないかなど、チェックさせて頂きます。

見た感じとても綺麗なインコさん、という印象でした。

次に体重測定です。

体重は34g。

保定した状態で、もう少しじっくり見ます。

お顔は綺麗、風切り羽根はショップさんで切っていて今は短い状態。

いずれ換羽期がきて生え変われば、また長い羽根に戻ります。

(私個人としては、なるべく羽根は切らないで安全な所で飛ばしてあげて欲しいです。)

 

仰向けにして胸筋を触ります。体格も悪くなさそうです。

インコさんの体格は胸筋の付き具合を触診して、キールスコアという5段階で評価します。

ハナちゃんはキールスコア3,正常でした。

 

続いてお尻周りもチェックします。

「ハナちゃんのウンチはのの字ですか?」

「うーん。どうかな、だいたいのの字かな・・・」

そうこうしているうちに、ハナちゃんがケース内で便をしました。

検便します。

検便の方法は直接塗抹法。倍率は400倍です。

 

あ!!

いました。

マクロラブダス。通称、メガバクテリア。

 

 

周りの腸内細菌に比べ、かなり大型の菌です。

正確には真菌、カビの仲間です。(矢印で示しています。)

マクロラブダスは胃障害を中心に、食欲不振、嘔吐

脱水、黒色血便、未消化便の排出などをおこします。

もちろん、命にかかわる病気です。

見つけ次第、治療開始です!

当院ではマクロラブダス感染症のインコさんに対して抗菌剤の内服薬を処方しています。

他にも症状があればそれぞれの症状にあった治療をします。(強制給餌、皮下点滴等)

インコさんの月齢や状態、飼い主さんとの関係などを考慮して、直接投与か飲水投与か決めます。

一人でお水が飲めるのであれば、飲水投与を選択することが多いです。

今回、ハナちゃんには1週間分の抗菌剤と胃粘膜保護剤を飲水投与で飲んでもらうことになりました。

 

1週間後・・・

再びご来院いただき、前回同様全身のチェックをして、検便です。

「ん・・・・・。今回は見当たりません!」

あ~、よかったぁ。お薬、効いてたんですね。お水、飲んでるか心配だったんですよ・・」

 

通常、生後数か月のインコさんの場合、このパターンが多いです。

内服1週間後、菌は見当たらない。

これで、終了??

いやいや、マクロラブダスはそんなに簡単にいなくなってはくれません。

いないからこそ、この治療を継続します。再び1週間分の内服薬を処方。

「また来週。来てください!」

 

実はこれを4回繰り返します。週に1度菌がいないことを確認して、いなければ薬を継続。

4回目の検便でマクロラブダスがいないことが確認できたら、治療はいったん終了です。

 

ハナちゃんは4回の検便を無事にクリアしました。

ひとまず、安心です。あとは、いない状態が保たれているかを定期的にチェックします。

半年に1度は来ていただきたいなぁ~と思っております。

 

気になるのが、内服薬を飲んでいるのにいなくならない場合、どうするのか?

内服の抗菌剤に耐性である可能性があります。

その場合、別の抗菌剤の注射を併用していきます。今のところ注射薬に対する耐性菌は確認されていません。

検便をしながらお薬の反応を見ていきます。

 

現在、日本でマクロラブダスは広く蔓延していると考えられています。

その理由の一つとして、不顕性感染の個体がいる、ということが挙げられます。

不顕性感染とは、病原体を体の中に持っているにもかかわらず、症状が出ていないことです。

感染に気付かない、気づけない、ということです。

不顕性感染の親鳥から感染する、あるいは同じケージ内の鳥から感染する、

おおいに考えられます。

ヒナのうちは特に弱いので、マクロラブダスによって命を落としてしまう場合もあります。

また、不顕性感染のインコさんでも何らかのストレスや加齢などで免疫力が落ちると発症します。

不顕性感染の期間が長ければ長いほど、事態は深刻です。

胃の障害が奥深くまで進んでいることも多いです。

近年マクロラブダスは胃癌を起こす、ともいわれています。

 

マクロラブダス感染症は検便で見つけることが出来る病気です。

そして、早く見つければちゃんと治る病気です。

気が付ないと取り返しがつかないことにつながります。

今回のハナちゃんのように、何の消化器症状も起こさずに順調に治ってくれるインコさんがいる一方、

重篤な症状で苦しんでしまうインコさんもいます。命を落としてしまうインコさんもいます。

 

もし、お家に可愛いインコさんがやってきたら、

元気そうに見えても、必ず一度は病院で検便を受けて欲しいと思います。

そして、「インコさんあるある」的なお話なんかもしたいですね!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました♡

 

 

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