こんにちは。獣医師の原田です!
ワンちゃんのお口のお手入れって大変ですよね。
何が大変かって、
まず嫌がる(口触らせてくれない、歯ブラシ噛まれる、なんなら手を噛まれる・・・) そして磨きにくい(ていうかどう磨いて良いかわからないけど、なんとなくやっている・・・)
こんな事を毎日続けるのなんて、正直しんどいですよね。
まぁこの状態で続けられるのはせいぜい1ヶ月でしょうか?
でも、歯周病にならないようにするためには、歯ブラシで磨くしかありません。
やっぱり歯のお手入れを続ける秘訣は
「ワンちゃんが嫌がらないようにやる」事と「飼い主さんが楽しんでやる」事ですね。
そのためには、適切な磨き方を知ることが大切です。
磨き方を間違えると、ワンちゃんも嫌がるし、結果が伴わないので、結局やっている方も嫌になってしまいます。
私が知る限り、当院で一番お手入れを頑張っている飼い主さんのワンちゃんのお口がこちら!!
歯科処置後一年以上経過してこれです!
歯石がピンク色に光るライトを当ててチェックしている様子です。
もう一度見てみてください。ほとんどついていません。これはすごいですね〜
実際ここまでできるんです。まずはそれを知ってください。
次に見ていただく画像はこちらです。
この3枚の画像は、みんな歯肉縁下つまり、歯周ポケット内の歯石の画像です。
歯周病治療のポイントはここをいかにコントロールするかです。歯周ポケットのプラークコントロールができないと、3日〜5日で歯石に変わってしまいます。一度歯石になってしまったら、もう落とせない・・・
よくあるお手入れ製品、どれも補助にはなりますが、歯周ポケットのプラークを落とせるのは歯ブラシです。物理的な摩擦があって初めて、プラークコントロールができるのです。(それでも動物病院取り扱いのケア商品は、歯石や歯垢付着の抑制効果はあります。歯磨きと合わせて使う事で、より効果的です。)
お手入れの際は、ここを磨く事を念頭に行っていきます。
まずは歯ブラシ選びから。
歯ブラシは絶対写真の左側の歯ブラシを選んでください。もう小型犬の歯周病ケアだったら、これじゃ無いとダメ!っていうぐらい違います。よく選ばれる、人間の子供用の歯ブラシだと、写真の右側のタイプです。毛先が丸くなっていて、全く歯肉炎もない、綺麗な状態であれば使えますが、歯周病ケアには使えません。
次に磨き方です。
これはなかなか文字に起こすのは難しいですが、先ほどお見せした歯周ポケットにブラシを入れ込むイメージです。
この動画にある、バス法を行ってください。
この方法で行う事で、歯周病ケアを行えます。
あとはどの頻度で行うか?
それは、毎日二回できたら最高ですが、飼い主さん自身がしんどく無いようにしましょう。
ただ、先ほども述べたように、ワンちゃんはプラークが3日〜5日で歯石に変わりますので、
最低でも3日に一度はしっかり磨けるように意識してください。
ワンちゃんの集中が持続しない場合は、一日置きに、上下を分けたり、左右を分けたりしていただいても良いです。
これでイメージはできたと思います。
それでは、ご自分の愛犬のお口を見てみてください。
お口が見られない方
→当院で歯磨きレッスンを受講してください。必ず口を見られるようにします。
お口は見られるけど、歯石がついていて、歯と歯肉の間が見えない方
→まずは歯石除去が必要。もしくは、すでに重度歯周病かもしれないです。受診してください。
上記以外の方
→ぜひ一度歯ブラシチャレンジしてみてください。それでも難しければ、一度ご相談ください。
最後になりますが、どうしても歯周病ケアが足りない場合、もしくはすでに歯周病が進行している場合、
全身麻酔下での清掃が必要です。
清掃もただ歯の表面をきれいにするだけではなく、歯周ポケットを徹底的に磨いていきます。先ほどの写真のように、エアーを当てて確認したり、場合によってはメスで切開してまでして、磨き残しをしないようにします。これにより、磨き残しが大きく減らせるため、歯周病治療の成績は飛躍的に高まります。
当院での歯科処置は磨いておしまいではないです。
このように歯科用カルテやレントゲン画像を残し、
どこが磨けていなかったか?歯肉炎の程度は?
これらをお伝えして、清掃後のお手入れのアドバイスをさせていただきます。
その後のアフターケアも含めて、歯周病と本気で向き合うワンちゃん飼い主さんを本気でお手伝いいたします!