栗東市、大津市、草津市、野洲市、守山市、湖南市、甲賀市の皆さまこんにちは。
滋賀県栗東市こにし動物クリニック、獣医師の関原です。
今回は異物の誤食、誤飲についてお話します。
上に挙げたように、異物誤食・誤飲の臨床症状は基本的に「嘔吐」です。
しかし一口に嘔吐と言っても、異物の形状、性質、存在部位などによって嘔吐のパターンは異なります。
また、動物にとって毒となる成分を含む異物の誤食の場合、嘔吐以外の症状を呈することがあります。
例:チョコレート→痙攣発作
玉ねぎ→貧血、血尿
ぶどう→急性腎障害
異物誤食・誤飲の瞬間を目撃した場合はもちろんのこと、実は飼い主様の見ていないところで飲み込んでいた、なんてケースも少なくありません。
連続性の嘔吐が見られる際はなるべく早めの受診をおすすめします。
異物誤食・誤飲の主な治療は以下のような方法です。
異物が胃にあり、かつ吐き出させることが可能なものであった場合に選択される治療です。
催吐剤の注射のみで実施することができ、体への負担は最も少ない治療法ですが、異物を吐き出さない可能性があります。
その場合は麻酔下での内視鏡や開腹手術が必要になります。
また、猫ちゃんは催吐成功率が低く、吐き出さないことも多いです。
大量の毒物誤飲から時間が短く、まだ胃の中に毒物が残留している場合に選択される治療です。
口からチューブを挿入し、胃内容物がきれいになるまで洗浄します。
ほとんどの毒物を除去することができますが、全身麻酔が必要となる処置です。
胃内の異物の形状や性質により催吐処置が適応できない場合や、催吐処置をしても吐き出さなかった場合に選択される治療です。
全身麻酔が必要となる処置ですが、本人への負担は比較的軽度であり、スムーズに取り出すことができたら麻酔時間も短時間で終えることができます。
胃内異物が内視鏡で取り出せなかった場合、異物が十二指腸~小腸に存在する場合に選択される治療です。
胃や腸を切開し異物を摘出する手術になります。
侵襲が大きい手術にはなりますが、確実に異物を除去することができ、消化管全体を目視で確認できるというメリットがあります。
開腹下異物摘出時に、腸管の壊死や広範囲に及ぶ損傷が認められ、異物摘出のみでは治療困難と判断した場合に選択される治療です。
壊死、損傷を受けた部位の腸管を丸ごと切除し、正常な腸管同士をつなぎ合わせる手術です。
かなり侵襲が大きく、腸管の縫合部位が術後に裂開してしまうリスクなどもあります。
猫ちゃんが紐状の異物を誤飲した場合に選択されることが多い手術ですので、特に注意が必要です。
症例1:柴犬、布製の手袋
症例2:ラグドール、おもちゃのプラスチックキャップ
症例3:ロシアンブルー、胃切開、パーカーの紐など
症例4:日本猫、小腸切開、ジョイントマット
最後に、異物ではないけど異物のような症状を呈するものを紹介します。
それがこちら👇
「毛玉」です。
いわゆる、猫の毛球症と呼ばれる病気で、グルーミングで舐めとった毛が胃の中でこんなに大きな塊を形成していました。
この症例は長毛の猫ちゃんで、異物を疑い内視鏡をしたところ、5cm弱の毛玉が取り出されました。
処置後は嘔吐も治まり元気になりました。
今回は急性・慢性の嘔吐の原因となる異物の誤食・誤飲について紹介しました。
異物誤食は未然に予防することが最善ですが、万が一誤食してしまった場合、誤食を疑うような症状が見られた場合はすぐに当院までご相談ください。