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12月12日

腫瘍と戦う!第4の治療法

こんばんは。獣医師の藤原です。

先日、大阪で開催された「動物臨床医学研究会」の年次大会に参加してきました。

その中で印象に残った「腫瘍免疫と腫瘍免疫療法」の講演について、報告させていただきます。

そもそも、腫瘍はどうしてできるのか?

実は、腫瘍細胞は突然現れるのではなく、

毎日のように現れては、体の免疫機構によって排除されているのです。

腫瘍細胞は体にとっては異物です。

腫瘍細胞ができると免疫を担う細胞がそれをみつけて「異物がいるぞ!」と信号をだし、腫瘍細胞を攻撃して体から排除しようとします。

たいがいはこの免疫機構によって排除されてしまうのですが、腫瘍細胞もずる賢く、免疫抑制物質を産生したり、自分が腫瘍細胞であるというマーカーを隠したりして、免疫細胞の攻撃から逃れようとします。

そうして、上手く免疫機構の攻撃を逃れ、増殖したものが腫瘍として見つかるのです。


腫瘍の治療法は、大きく分けると3つあると言われてきました。

①外科療法

②放射線療法

③化学療法(抗がん剤)

外科的に摘出できるものならば、それが最も有効な手段となります。

外科的に摘出できない場合、放射線療法で腫瘍の縮小を狙ったり、化学療法によって寛解を目指すことになります。

これらの治療法は「腫瘍を攻撃して排除する」という治療法です。


4つ目の新たな治療法は「腫瘍免疫療法」。

人医療では今、こちらが盛んに行われています。

これは前述の3つの治療法と異なり、免疫を調節し、腫瘍細胞を発見しやすくすることで、自身の免疫細胞に腫瘍を排除させるという治療法です。

昨年、この腫瘍免疫療法を確立したとして、抗PD-1抗体医薬(オプジーボ)の開発に貢献した京都大学の本庶祐教授がノーベル医学・生理学賞を受賞されたのは、記憶に新しいのではないでしょうか。

オプジーボはPD-1という免疫細胞のブレーキとなるたんぱく質を阻害することで、免疫細胞を活性化し、腫瘍細胞を発見させるという治療薬です。

現在、動物用の抗PD-1抗体医薬の開発も徐々に進んでいるようです。

近い将来、動物の方も腫瘍の治療法が大きく変わるかもしれませんね。

まだ先のお話かもしれませんが、現状では治療の難しい腫瘍にも

新たな選択肢が生まれることを期待しています。

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